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切削加工では、製品を作る前に治具を作ることがあります。治具はお客様へ納品するものではなく、図面にも名前は残りません。それでも加工現場には欠かせない存在です。
私たちは、まず今ある治具や既製品を組み合わせ、向きを変え、加工方法を工夫しながら完成形を思い描きます。専用治具を作らずに加工できた時は、それだけ工夫できたような気がします。
受託加工では、お客様の図面をもとに加工するため、一から設計する機会は多くありません。その数少ない例が専用治具です。どう固定すれば精度が出るのか、どう加工すれば完成までたどり着けるのか。治具を考える時間は、加工屋が設計者になる瞬間でもあります。
良い治具は、次に使う人を迷わせません。置く向きや固定位置が自然に分かり、脱着しやすく、傷も付きにくい。治具を見れば、どのような手順で製品を完成させるのかが自然と伝わります。
治具には、作った人の工夫や経験、考え方が形となって残ります。表に出ることはありませんが、製品が完成するまで支え続ける大切な存在です。私たちは製品だけでなく、その製品を支える治具にも、同じように時間を掛けて向き合っています。